目次
ゲーム概要
『It Takes Two』は、2021年3月26日に発売された協力プレイ専用アドベンチャーゲームです。主な特徴として、さまざまなゲームジャンルをモチーフにした多彩なギミックや、細かく作り込まれた美麗グラフィック、そしてユーモラスで心温まるストーリーが挙げられます。 なお本作は、オフラインマルチプレイとオンラインマルチプレイに対応しています(※PS版はオンラインマルチの際にPlayStationPLUSへの加入が必要です)。
あらすじ
物語の主人公は、破局寸前の夫婦・コーディとメイ。ある日魔法にかけられた2人はなんと人形になってしまいます。慌てふためく彼らの前に現れたのは、陽気な愛の伝道師 Dr.ハキム。ハキム曰く、元の姿に戻るためには彼の与える試練を乗り越える必要があるとのこと。とんでもない状況にも関わらず言い争いの絶えないコーディとメイ。果たして2人は力を合わせ、人間に戻ることができるのでしょうか…。
対応プラットフォーム
PlayStation4 / PlayStation5 / Nintendo Switch / Xbox Series X|S / PC(Steamなど) ※2022年11月5日時点
プレイ人数
2人
実況プレイ&解説動画
協力プレイ手順(オフライン画面分割)※PS5
本作は、ゲーム開始直後から協力プレイが可能です。二人で遊ぶ際の前準備として、あらかじめPlayStation5にコントローラーを2つ接続し、それぞれ別のPSアカウントでログインしておきます。
- 『ローカルでプレイ』を選択します。
- 2Pコントローラーの×ボタンを押してゲームに参加します。
- 準備できたら1Pコントローラーの×ボタンを押して先に進みます。
- ゲーム開始後、キャラクター選択画面が表示されます。各自で方向キーを操作して自分のキャラクターを選びます。
- キャラクター選択後、各自が×ボタンを押すとゲームが始まります。
レビュー
オススメする点
- 多彩なギミック
- ストレスフリーなゲーム設計
- 心温まるストーリー
- 多彩なギミック
本作には基本アクションである移動・ダッシュ・回避・ジャンプ・二段ジャンプ・地面叩きのほか、ステージごとにそれぞれ異なるキャラクターアビリティが用意されています。そして、それらを駆使してバトルをしたり各ステージのギミックを解決していきます。ギミックの種類はとにかく多彩で、シューティング・レース・ディアブロライクの見下ろし型アクション・格ゲー・音ゲーといった様々なゲームジャンルをモチーフにしたものが登場し、どのステージでも新鮮な驚きを感じながらプレイしました。なお本作は「It Takes Two (2人じゃなきゃダメ) 」というタイトル通り、プレイヤー同士が連携しなければ先に進めないようになっています。しかしその徹底した協力プレイシステムのおかげで、お互いがクリアに貢献できている、パートナーがあってこそのクリアなのだと強く実感できました。
>>ステージ
コーディとメイのキャラクターアビリティは 作業部屋を冒険するステージでは釘とハンマー、おもちゃでできた宇宙ステージでは拡縮自在ベルトと反重力ブーツといった風に、各ステージのテーマに合わせたものが用意されています。そして、そんなお互いのアビリティを組み合わながらギミックを解決していくのが面白いです。例えば磁石のS極とN極をそれぞれが担当するステージでは、離れた場所にいるパートナーと強い磁力で引き寄せ合うことで真ん中の地点で合流できたりと、プレイヤー2人ともが主役になるようなバランス設計に制作陣のこだわりを感じました。さらに、提示されるギミックに応じてカメラワークが横スクロールや俯瞰に固定されることがあります。こうした視点変更は操作感にも変化をもたらしており、UFOキャッチャーのようなギミックではそれが顕著に表れていて、ゲームを盛り上げる一つの演出としても効果的な役割を果たしています。
>>バトル
バトル時は敵とプレイヤー側のHPゲージが表示されるようになります。もしも倒されてしまっても、パートナーが生き残っていたら自分のキャラを復活させることができます(ボタン連打で復活速度が上がります)。バトル中もプレイヤー同士の連携が重要になっていて、特にボス戦ではそれぞれのキャラクターアビリティを組み合わせなければダメージを与えられません。ボス戦は、表示される攻撃の範囲予兆を見て回避するフェーズと、プレイヤーが手分けしてギミックを解決し攻撃するフェーズに分かれています。まず回避フェーズはボスの一撃が重めなうえ範囲も広いためかなり動き回る必要があります。うまく避けきれず、2人同時に大ダメージを喰らって呆気なく全滅、なんてことも…泣。次に攻撃フェーズは、基本的にその時会得しているキャラクターアビリティに応じてどちらが攻撃担当・補助担当になるかが決まっています。そしてこの役割分担はステージによって交代制になっており、バトルにおいても必ず両方のプレイヤーが活躍できるようになっています。いずれにしても各自でやるべき事・考える事が多く、やり応えのあるバトルが白熱しました。
- ストレスフリーなゲーム設計
>>移動
本作は移動のストレスがとことん軽減されていることも特徴的です。先ず、移動には必ずと言っていいほど何らかのギミックが絡んできます(例えば 配線ケーブルの上をトリックを決めながら高速で滑走するなど)。そして、それらの攻略に夢中になっているうちにいつの間にか目的地に到着していたりと、移動さえも楽しめるゲーム設計になっています。また、それに関連してゲーム進行の誘導も非常に巧妙で、提示された問題を解決するために行動しているとほぼ道に迷うことがありません。さらに、エリア内の探索を終えた後は自動的にダンジョンの入口まで戻してくれるなど、すこしでも「面倒だな…」と感じる移動は自動的にスキップされます。こうした徹底的な移動ストレスの排除が、快適なゲームプレイを後押ししています。
>>緊張からの解放
各ギミックにはヒントがほぼありません。2人であーでもないこーでもないと試行錯誤するのは勿論楽しいものの、なかなか解決せずその場で足踏みしてしまう事もしばしば…。ですが、そんな難しい仕掛けを乗り越えた後には 必ずと言っていいほどスピーディな移動アクションが用意されています。たとえばトロッコに乗っておもちゃの恐竜の国を巡ったり、きらきら輝く氷原の中でボブスレーをしたり。美しいグラフィックも相俟って、それまでの苦労からプレイヤーを解き放つかのような爽快感がありました。ギミックを解決しながら少しずつ前進して、その後は爽快に、一気に駆け抜けていく。『緊張と解放』のバランスが心地良い本作のジェットコースターのような魅力が、プレイヤーの心を掴んで最後まで飽きさせない理由の一つだと感じました。
>>その他
かなりこまめにチェックポイントが設定されており、もしも全滅してしまってもリスタートが直前の地点からなのでやり直しの際のストレスは少ないです。また、現実世界に魔法が溶け込んだ世界観が不思議で可愛らしく、ステージ探索が楽しいです。ステージ内には対戦型ミニゲームが用意されていたり、小ネタ要素や隠しキャラがいたりと息抜きに繋がるようなさまざまな発見があります。その上、これほどまでに多彩な要素を盛り込んだゲームにも関わらずプレイ中にバグに遭遇することがありませんでした。総じて、非常に完成度の高いゲームだという印象を持ちました。
- 心温まるストーリー
忙しさで家族を顧みることができなかったメイと、メイの苦労を分かってあげられなかったコーディ。最初はきっと同じ方向を向いていたはずなのに 小さなすれ違いが重なり続け、やがて互いの間に大きな溝を作り、2人が魔法にかかるまで それは深くなる一方でした。
魔法を解く鍵を探して不本意ながらも協力することになった2人が大冒険を繰り広げるのは、工具が暴れる作業部屋に、小さないきものたちに占領された庭のツリーハウス、そしておもちゃたちのお城があるこども部屋。この魔法と現実が入り混じった不思議な世界はコーディとメイの自宅。そして2人の“リアル”で発生した問題は、そのままこの世界にも持ち越されています。
プレイヤーは、現実とのリンクをあちこちに感じるユニークなステージをまるで小人になったような気分で探索し、1つずつ問題を解決していくことになります。プレイ中に強く感じたのは1Pだから、2Pだからといって脇役になることはなく 物語の中心には常に2人がいるという事。どちらの視点も見えているからこそ、苦悩し、葛藤する彼らのことを次第に応援したくなり、物語の結末を見届けたくなりました。加えて本作は、吹き替えには対応していないものの字幕の翻訳が丁寧で、一度に表示される文字数が多すぎないので内容を把握しやすいです。
「It Takes Two」の日本語訳は「2人じゃなきゃダメ」「2人の責任」そして「2人でいてこそ」。ぜひ、大切な人と一緒にプレイして欲しいゲームです。
注意する点
- 画面酔いしやすい
- グロテスクな描写がある
- 1人ではプレイできない
- 画面酔いしやすい
画面がチカチカと点滅する演出が多く、わざと目の錯覚を促すようなステージもあり画面酔いしやすい方は注意が必要です。そのほかにも、カメラをぐるぐる回して解決法を考えなくてはならないギミックや、上下の概念が逆になるなどいくつか酔いやすいステージが登場します。
- グロテスクな描写がある
ボスを倒すときの描写がグロめで、血飛沫が上がるようなスプラッタ表現ではないのですが後味が悪かったり猟奇的なものがあるため注意です。また、リアルな虫(羽虫・幼虫)と、ミミズが大量に出てきたり、カエル、ムカデも登場するので虫系が苦手な方はプレイするのが厳しいかもしれません…。
- 1人ではプレイできない
2つのコントローラーを1人で操作しようと頑張ったのですが難しかったです…。ソロプレイができないゲームなので、途中でパートナーが離脱すると先に進めなくなってしまいます。また、2人でタイミングを合わせなければ解決できないギミックがあるため、もしもオンラインで離れた場所にいる方と遊ぶ際はボイスチャットが必須になりそうです。ただ、オンラインマルチの場合でもフレンドパスシステムを利用すればソフトを1本購入するだけで済みます(フレンドパスシステムについて:公式サイトページに飛びます)。
オフライン協力プレイの仕様
協力プレイの特徴
- 画面は基本的に縦分割。
- 蘇生し合うことはできない(自己復活が可能)。
- 1人だけで先に進むことはできない。
協力プレイ環境
PlayStation5本体 | 1台 |
ソフト | 1本 |
コントローラー | 2台 |
二人協力プレイに掛かった費用
ソフト代 | 4,300円 ※2021年4月24日時点 |
オンラインサービスへの加入 | PS Plusに加入が不要 ※オンラインマルチプレイ時はPS Plusに加入が必要。 |
夫婦コメント&評価
夫コメント
プレイするためには絶対に2人必要なので、ストーリー内容も含めてカップル向けのゲームだと思います。パズルアクション要素が強いと感じたのは序盤のみで、レースゲームを彷彿とさせる移動アクションがあったりと多彩なギミックが面白く、剣と魔法で戦うパートがあるとは思ってもみなかったためとても楽しめました。ギミックのジャンルが幅広く かぶりなしで飽きさせないにも関わらず、30分わからないまま悩み続けるような難しさはなく、丁度良いひらめき体験を与えてくれるバランス調整は見事でした。ユーザーがどのように発見するかをよく考えて設計されていると感じました。また想像以上にボリュームがあり、しかもバグもなく最後まで遊ぶことができました。値段以上の価値があるゲームだと思います。
妻コメント
『協力プレイは面白い!』を改めて実感させてくれる、協力ゲームの最高傑作だと思っています。誰かとゲームするときの楽しさも、上手く行かないモヤモヤも、敵と戦う緊張感や、ストーリーの感動、そしてクリアしたときの達成感をこの一本で全て、2人で一緒に味わえます。演出にも凝っていて、全滅したときはBGMが徐々に気が抜けたような響きになったり、Dr.ハキムが姿を消すときはつねにハートマークを残していくなど細かな部分にまで制作陣のこだわりと情熱をひしひしと感じました。 楽しさも感動も、2人でプレイするからこそ倍になる神ゲーです。オススメします。